年の瀬に差し掛かるこの時期、会社の中で忘年会を企画しているところも多いのではないでしょうか?
通常、開催は12月中旬ごろですが、日程の確定や参加者数、プログラムの構築、余興、場所の選定など、検討すべきことはたくさんあります。
幹事を引き受ける人には相当なプレッシャーがかかることでしょう。
2019年には、「忘年会スルー」という言葉が注目を浴びました。
これは、忘年会に参加したくない人たちがSNSで使ったハッシュタグです。
若い世代は忘年会にあまり興味がないのでしょうか?一方で、幹事や先輩方はその年一生懸命働いた社員たちと楽しく忘年会を過ごしたいと考えるでしょう。
今回は、忘年会に参加しない若者が増えた背景や、コミュニケーションをとる際に求められるもの、そして飲みニケーションの変化について触れていきたいと思います。
なぜ若者や新人社員は忘年会に参加したくないのか?
忘年会は本来、従業員をねぎらう行事です。
しかし、なぜ参加したくないのでしょうか?その理由をいくつか挙げてみます。
忘年会に参加しない理由
個人のプライベートな時間の重要性
職場の人間関係が良くない場合
詳細についてご紹介します。
① 参加費用が高い
一般的に、忘年会の参加費は4,000円から5,000円です。
2021年のサラリーマンのお小遣い調査によると、男性会社員の月平均小遣いは38,710円、女性会社員は34,398円でした。
また、コロナ禍で収入に変動がある中、お金を毎日の食事や趣味に使ってしまうと、忘年会の参加費を捻出するのは難しい現実です。
特に、忘年会を「会社の行事」として考える人にとって、5,000円は高額に感じるかもしれません。
② プライベートの時間の重要性
政府も推進する「ワーク・ライフ・バランス」において、仕事とプライベートを分け、プライベートの時間を大切にすることが重視されています。
大切な家族や趣味の時間が削られることも、忘年会への参加をためらう理由の一つです。
③ 人間関係が良くない場合
忘年会に参加したくない理由として、職場での人間関係が良くないと感じる場合も考えられます。
業務上の関わりしかない同僚や上司と、お酒を飲みながら過ごすのは不快かもしれません。
そういった状況下では、「行きたくない」と感じるのも理解できます。
飲みニケーションは過去のもの?その効果やメリットは?
飲みニケーションとは、上司や先輩、部下同士がお酒を飲みながらコミュニケーションをとることを指します。
しかし、現代において飲みニケーションは必ずしも必要とは言えないでしょう。
確かに、終業後に居酒屋でお酒を飲むことや飲みニケーションにはメリットがあります。
・ 飲みニケーションのメリット
– 人間関係が深まり、ネットワークが広がる
– チームの一体感が生まれ、仕事の生産性が向上する
しかし、上司から誘われることにプレッシャーを感じたり、強制的に誘われることがストレスとなり、時にはパワハラとみなされることもあります。
全ての若者がお酒が嫌いなわけではなく、また、上司や先輩、同僚と一緒にお酒を飲むことが嫌いなわけでもありません。
実際、若い世代の中には、仕事や将来について上司や先輩に相談したいと考える人もたくさんいます。
そのため、楽しく飲みニケーションをするためのポイントを紹介します。
・ 楽しい飲みニケーションのための重要なポイント
– 説教や自慢話はしない
– アルコールを過度に勧めない
– 断れる配慮をもって誘う
誘う側も誘われる側も、ストレスなく参加できる関係作りが重要ですね!
従業員の参加を強制すべきか?会社の飲み会に関して
要するに、会社の飲み会への強制参加は避けるべきであり、実施できないものです。
具体的に言えば、労働基準法には労働時間や残業時間の基準が規定されています。
法的根拠となるのは労働時間であり、給料が支払われる勤務時間のみです。
業務外の飲み会については、法的に参加を強制する根拠は存在しません。
従業員の参加は自己の意志に任されるべきです。無理に誘うことはパワーハラスメントに当たります。
実際、飲み会への強制参加がパワーハラスメントであると明確に定められているわけではないため、その参加を強要することがパワーハラスメントにつながる可能性があることが適切です。
パワーハラスメントとは、権力を利用して社会的に地位の低い人に対して不当な要求や嫌がらせ、苦痛を与える行為を指します。
厚生労働省はパワーハラスメントを6つのタイプに分類しています。
・パワーハラスメントの6つのタイプ
精神的な攻撃
人間関係の切断
過度な要求
過小な要求
個人への攻撃
例えば、飲み会の参加を断ったことで暴言や嫌がらせを受ける場合、精神的な攻撃に当たります。
また、断った従業員が孤立を感じる場合は人間関係の切断に該当します。
「参加させたいから!」ではなく、「なぜ参加したくないのか?」を探り解決していくことが重要です。
会社の飲み会への参加のメリットは何か?
以前に述べた飲みニケーションのメリットと重複する部分もありますが、より詳細に説明します。
会社の飲み会への参加のメリット
① 日常ではできない会話ができる
アルコールが入ることで、通常の業務中には聞けない人の本質が見える機会です。
通常苦手だと思っている人でも意外と趣味を持っていたり、ユーモアがあるかもしれません。
仕事仲間をより深く理解するための良い機会です。
② 人間関係を深め、ネットワークを広げることができる
大規模な企業では、同じ職場でも関わりの少ない人もいます。
そのような人々とのつながりを広げ、コミュニケーションを持つことができます。
これにより、職場での円滑なコミュニケーションが可能になり、仕事が進みやすくなります。
③ 一体感が生まれ、仕事の生産性が向上する
上司や先輩との親密さが増すことで、相談がしやすくなり、信頼を得やすくなります。
お互いがフォローやサポートを行いやすい環境が整い、仕事がはかどります。
④ 社会人としての付き合い方やマナーを学ぶことができる
多くの人と関わることで、コミュニケーション能力が向上し、気配りなども学ぶことができます。
将来自らが先輩になった際の部下への接し方の勉強にもなります。
また、有益な情報を得ることもできます。
また、忘年会や飲み会での余興を考える場合、「若手だけにやらせない」ことが重要です。
飲み会に参加したくない理由の一つに「余興が嫌い」という声も多くあります。
以前、私がダンスを披露した際、上司や先輩も一緒に参加し盛り上げたことで、若手からも「先輩が盛り上げてくれてる!一緒に頑張ろう!」というポジティブな反応がありました!
会食や接待の目的
会食や接待にも、飲み会と同様のメリットがありますが、これらは取引先や仕事相手との「ビジネスの場」と考えられます。
こうした場合、信頼関係を築き、共に仕事を行う相手であるか、お酒や食事を通じて信頼を得ることが重要になります。
忘年会や飲み会で磨いたコミュニケーション能力を活かす好機と言えるでしょう。
新世代の若者を忘年会や飲み会に参加させる方法
ここでは、若い人々を飲み会に参加させるためのアプローチのポイントや避けるべき行動について紹介します。
・ 忘年会や飲み会への招待ポイント
強制的な誘いではなく、断っても構わない旨を明確に伝えることが大切です。
・ 参加費を適正に設定する
従業員の参加費は2,500円から3,000円が望ましいです。ポジションに応じて金額を変動させたり、会社が負担する額を変更することも考慮されます。
近年、非飲酒者が増加しているため、飲酒者と非飲酒者で費用を調整することも参加を促進する一因です。
・ 魅力的な飲み会であることを強調する
上司や先輩との仲を深めることはもちろんのこと、特別な店舗やトレンドの料理を選ぶことで参加意欲が高まるでしょう。
事前に若者の希望を伺い、一緒に場所を決めることも有益です。
・ 参加しやすい職場環境の構築
親睦を深めるための飲み会は悪いことではありませんが、親睦を深めるためには、お酒だけではなく「日常から従業員同士の絆を深める」ことが大切です。
親睦を深め、慰労するためには、お酒が必ずしも必要ではありません。
例えば、昼食時間の設定や会社内での立食パーティーや親睦会を実施することが有効です。
親睦を深めた後に忘年会や飲み会に誘う方が参加率が高まるでしょう。
誘い方のNGポイント
・ しつこく連日誘う
毎日のような誘いは、どんな人でも「嫌だな」「どう断ろうか」と思わせることになります。
・ プライベートに干渉する
断られた理由や用事について問い詰めるのはNGです。
・ 人格否定する
飲み会に参加しないことを責めるような発言は、パワーハラスメントとなるので気をつけましょう。
まとめ
若者が忘年会に参加したくない理由や飲みニケーションについて説明しました。
若者が参加をためらう理由は、会費が高いこと、プライベートの重要性、また人間関係が良くないことが挙げられます。
飲みニケーションは、適度な長さが理想であり、お互いがストレスを感じないよう配慮が必要です。
強制的な飲み会参加は避けましょう。時にパワーハラスメントに繋がる可能性があるためです。
忘年会や飲み会に参加しやすくするためには、「お酒に頼らず」日常から若い人とのコミュニケーションを大切にすることが大切です。
この記事では忘年会や飲み会について述べましたが、若者が飲み会を嫌っているわけではありません。
彼らが望む飲み会を企画するために、彼らの視点を考慮することが重要です。
記事を読むだけでは問題は解決しません。
まずは若者の視点から働きやすい環境や良好な人間関係を構築することが最初の一歩です。
忘年会を開催するのであれば、全員が楽しんで参加できるよう努力しましょう。