伝説上の生き物である「鳳凰(ほうおう)」と「フェニックス」は一見似た存在に見えます。
しかし、これらは本当に同一の生き物なのでしょうか?
その答えを探るため、更に「朱雀(すざく)」という生き物との関連も含めて詳しく見ていきます。
1.「鳳凰(ほうおう)」とは?
中国の神話世界から生まれた「鳳凰」は、霊的な力を宿すとされる伝説の鳥です。
四霊の一角を成し、麒麟、霊亀、応竜と共に神秘的な存在として語られています。
瑞鳥、つまり吉兆を告げる鳥としても知られ、例えば鶴もこの類に属します。
鳳凰: 孔雀に似た華やかな外観。最低でも1.2メートル以上。
霊亀: 巨大な亀で、山のような甲羅を持つ。
応竜: 翼のある竜で、四足を持ち、雨を降らす力がある
鳳凰は非常に複雑な姿をしており、麒麟の前面、鹿の後ろ姿、蛇の頸、魚の尾、亀の背、燕の顎、鶏の嘴を持ち、五色に輝くとされます。
その大きさは、全体的に孔雀に似ており、背丈は1.2メートル以上です。
鳳凰が好む食物は、数十年に一度しか実を付けない「竹の実」と、甘い「霊泉」の水とされます。
この情報は紀元前2世紀に成立した中国最古の辞典「爾雅」にも記載されています。
鳳凰には雄雌が存在し、卵から生まれると言われています。
また、その卵には不老長寿の力が宿ると伝えられています。
平等院鳳凰堂にある鳳凰の像は、鹿や魚、亀の特徴を持つとされていますが、実際のところはどうでしょうか?
「フェニックス」という神秘の鳥
古代エジプトから語り継がれる「フェニックス」は、世界中の伝説に登場する霊鳥です。
この鳥は「火の鳥」や「不死鳥」としても知られています。
古い記録によると、フェニックスはアラビアの砂漠に住み、500年の寿命を全うすると自ら巣に火を放ち、灰の中から再び生まれ変わるとされています。
これは、不死や永遠の命を象徴する話です。
さらに、フェニックスは雄のみで卵を産まず、その代わりに繰り返し蘇生します。
伝説によると、フェニックスの涙には癒しの力があり、その血を飲むと永遠の命を得られるとされています。
その外見は、猛禽類に似ており、特に鷲に類似しています。羽は金色や赤で華やかです。
中国の霊鳥「鳳凰」との違い
「鳳凰」とフェニックスを比較すると、いくつかの違いが見られます。
鳳凰は中国の伝説に登場し、孔雀のような美しい容姿をしています。
鳳凰には永遠の命という概念がありませんが、フェニックスにはあります。
また、鳳凰は雄雌のペアで存在し、卵を産むのに対し、フェニックスには卵が存在しない点も異なります。
神獣「朱雀」との異なる特性
「朱雀」は中国の神獣で、四神の一角を成す存在です。
朱雀は南方を守護し、火の属性を持つ鳥として描かれています。
他の三神は、東の青竜、西の白虎、北の玄武です。
朱雀はしばしば鳳凰と混同されがちですが、朱雀は四神の一部であり、鳳凰は四霊の一部である点が大きな違いです。
また、フェニックスのような「永遠の命」の伝説は朱雀には存在しません。
まとめ
鳳凰、フェニックス、朱雀はそれぞれ異なる文化と伝説に根ざした存在です。
鳳凰は中国の霊鳥、朱雀は神獣、フェニックスはエジプトの伝説の生き物として、各々独自の物語と特徴を持っています。