冬の空が澄んでいると感じることはよくありますが、その理由を考えたことはありますか?冬の夜空に輝く星々は、特に美しく見えますよね。以前、冬の空気が冷たいから星が綺麗に見えるのではないかと思っていました。しかし、なぜ冬の空が澄んで見えるのかを調べたところ、興味深い発見がありましたので、皆さんにもお伝えしたいと思います!
冬の空が澄むメカニズム
気象庁の「はれるんライブラリー」に掲載された質問と回答が参考になります。
質問:冬の空が夏よりも澄んで見えるのはなぜ?
回答:空気が澄んでいるかどうかは、空気中の水蒸気やちりの量で決まります。冬は夏と比べて気温が低いため、空気中の水蒸気やちりが少なく、その結果冬の空は夏より澄んで見えるのです。
ここから、湿度と大気の安定性の2点に焦点を当てて詳しく見ていきましょう。
・①湿度が低いことの影響
冬は夏に比べて相対湿度が低めです。夏は肉眼では見えないものの、湿度が高く空気中に水蒸気が多いため、光がわずかに屈折します。対照的に、冬は水蒸気量が少なく、光の屈折が減るため、視界がクリアになります。
ここでいう「相対湿度」とは、空気中の水分量の割合を指しています。冬の冷たい空気は、夏と比べて水蒸気をそれほど多く含むことができないため、同じ湿度でも実際の水分量は夏より少なく、空気は乾燥しているのです。
・②大気の安定がキーポイント
「大気の不安定」とは、上空の冷たい空気と地上の暖かい空気が重なる状態を指します。夏は暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降することで対流が生じやすくなります。しかし、冬は地上の空気も冷たく、上空の空気と温度差が少ないため、空気の動きが少なく、安定しています。冬の空気が静かなのは、このような大気の安定によるものです。
冬の夜空が美しい理由を探る
冬の夜空はとても美しく、星がより一層クリアに見えます。これには空気が澄んでいることが一因ですが、それ以外にも理由があります。それは空の残照が少ないことや、一等星が多く見えることです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
・①空の残照が少ない
冬になると太陽が沈む時間が早くなり、夜が長くなります。夏の終わり頃から日没が早まるのを感じると思います。寒くなって冬になると、日が沈んだ後の夜の時間が長くなります。その結果、空に太陽の光が残りにくくなり、他の季節よりも空が暗くなります。
この太陽の光が残る現象を「残照」と言いますが、夏場は夜9時ごろでも微かに残照を確認できることがあります。このため、夜でも明るく感じられ、星空が見えにくくなります。
・②一等星が多く見える
星は、肉眼でかろうじて確認できる「六等星」から、非常に明るい「一等星」までランク付けされています。日本で確認できる一等星の数は合計21個で、年間を通して15個が見えます。季節ごとに見ることができる一等星の数は、春3つ、夏4つ、秋1つ、冬7つです。
冬に見える一等星は以下の通りです。
・オリオン座のベテルギウスとリゲル
・おおいぬ座のシリウス
・こいぬ座のプロキオン
・ふたご座のポルックス
・ぎょしゃ座のカペラ
・おうし座のアルデバラン
・南のりゅうこつ座のカノープス(関東以南)
オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結ぶと冬の大三角形になります。
冬の空が澄む理由をまとめて
冬に空気が澄む理由をまとめてみると、澄んだ空気が星空を美しく見せるだけでなく、冬特有の条件が星空の美しさに寄与していることがわかります。
また、ペルセウス座流星群のように冬には特有の流星群があり、12月のふたご座流星群や年末年始のしぶんぎ座流星群も見ることができます。
今年の冬は暖冬の予報が出ており、星空観察には最適な条件かもしれません。冬の夜空を楽しみにしてみてはいかがでしょうか。